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相続のこと  ·  2026/05/20

死因贈与契約は取消すことができるのか

父が長男に対し「俺の面倒見るのと毎月一定額の生活費をくれるのであれば、俺が亡くなったときに不動産を贈与する」と言ったため、長男はそれに同意し父と同居しながら一定額の生活費を渡していた。

しかし多年の同居により関係が悪化したため、父は不動産を二男にやりたいと言い出した。認められるのか?

 

このテーマは「民法554条により民法1022条が適用されるのか?」に換言できます。

 

 

 

(負担付贈与)

第五百五十三条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

(死因贈与)

第五百五十四条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

 

(遺言の撤回)

第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

(前の遺言と後の遺言との抵触等)

第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

 

(負担付遺贈に係る遺言の取消し)

第千二十七条 負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

 

 

 

 

最判昭和57年4月30日は以下のとおり判事しています。

負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与契約に基づいて受贈者が約旨に従い負担の全部又はそれに類する程度の履行をした場合においては、贈与者の最終意思を尊重するの余り受贈者の利益を犠牲にすることは相当でないから、右贈与契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、右契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右負担の履行状況にもかかわらず負担付死因贈与契約の全部又は一部の取消をすることがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、遺言の取消に関する民法一〇二二条、一〇二三条の各規定を準用するのは相当でないと解すべきである。

 

 

本件についてみてみると、2人の関係性の悪化について長男についてのみ帰責性がある場合や、面倒を看ていた過程で虐待等があった場合については上記判例の特段事情に該当する可能性がありますが、2人の関係性が悪化したという事実だけでは、多年にわたり生活費を入れていたこと及び最近まで面倒を看ていたという事実は父にとって利益であるため、受贈者の利益を犠牲にすることは相当ではないから取消しは認められないと考えられます。

 

 

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