商業・法人登記申請の添付書面情報に係る電子証明書が追加されたことに伴い、オンラインによる商業・法人登記申請に「公告をしたことを証する書面に代わるべき情報」として、インターネット版官報を送信すること、また、登記申請書に添付すべき電磁的記録媒体にインターネット版官報を記録したものを添付することが可能となりました。
詳しくは下記法務省ホームページをご覧ください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html#05
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賃借権の設定の登記の申請において、申請情報の内容として提供された敷金が他の不動産の敷金と合わせて定められたものである場合には、添付情報である登記原因を証する情報の内容から、当該賃借権に係る賃貸借契約が複数の不動産を一括して契約の対象とするものであり、敷金が当該賃貸借契約の対象である複数の不動産を一括して定められたものであることが明らかであるときであっても、当該賃借権の設定の登記は、不動産登記法第25条第5号により却下されるのか。
解答
却下される(令和4年12月12日 法務省民二第1297号)。
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1 寄付の意思表示の取消し
個人は法人等が寄附(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(以下「法」という。)第2条に規定する寄附をいう。以下同じ。)の勧誘をするに際し、当該個人に対して法第4条各号に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって寄附に係る契約の申込み若しくはその承諾の意思表示又は単独行為をする旨の意思表示(以下「寄附の意思表示」と総称する。)をしたときは、当該寄附の意思表示(当該寄附が消費者契約(消費者契約法(平成12年法律第61号)第2条第3項に規定する消費者契約をいう。以下
同じ。)に該当する場合における当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を除く。)を取り消すことができるとされました(法第8条第1項)。
2 扶養義務等に係る定期金債権を保全するための債権者代位権の行使に関する特例
法人等に寄附(金銭の給付を内容とするものに限る。以下同じ。)をした個人の扶養義務等に係る定期金債権(法第10条第4項に規定する定期金債権をいう。以下同じ。)の債権者は、民法(明治29年法律第89号)第423条第2項本文の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限の到来していない部分を保全するため必要があるときは、当該個人である債務者に属する当該寄附に関する次の(1)から(3)までに掲げる権利を行使することができるとされました(法第10条第1項)。
(1) 法第8条第1項の規定による取消権
(2) 債務者がした寄附に係る消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に係る消費者契約法第4条第3項(第1号から第4号まで、第6号又は第8号に係る部分に限る。)(同法第5条第1項において準用する場合を含む。)の規定による取消権
(3) (1)又は(2)の取消権を行使したことにより生ずる寄附による給付の返還請求権
3 供託手続等
(1) 供託請求
前記2(3)の場合において、扶養義務等に係る定期金債権のうち確定期限が到来していない部分については、民法第423条の3前段の規定は適用しないとされました。この場合において、債権者は、当該法人等に当該確定期限が到来していない部分に相当する金額を債務者のために供託させることができるとされました(法第10条第2項)。
なお、法第10条第2項が債権者に供託請求を認めた趣旨に鑑み、供託者である法人等は、当該債権者による同意がある場合などを除き、供託金の取戻請求権を行使することができないこととなります。
(2) 供託の通知義務等
ア供託の通知義務
(1)の供託請求により供託をした法人等は、遅滞なく、前記2(3)の返還請求権を行使した債権者及びその債務者に供託の通知をしなければならないとされました(法第10条第3項)。
イ供託通知書の発送請求
アの通知について、供託者である法人等は、供託官に対し、被供託者である債務者のほか、債権者についても、供託通知書の発送を請求することができます(供託規則(昭和34年法務省令第2号)第16条第1項、改正通達による改正後の供託事務取扱手続準則(昭和47年3月4日付け法務省民事甲第1050号当職・法務大臣官房会計課長通達)第33条第3項)。この場合の供託書は、債権者に供託通知書を発送することを請求すること及びそのために必要な事項が記載されたものであることを要します。
経過措置
1 法第8条第1項の規定は、法の施行の日以後にされる寄附の意思表示(法第4条第3号及び第4号に掲げる行為により困惑したことを理由とするものにあっては、消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律(令和4年法律第59号)の施行の日以後にされる寄附の意思表示)について適用するとされました(法附則第2条)。
2 消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律の施行の日の前日までの間における法第10条第1項の規定の適用については、同項第2号中「から第4号まで、第6号又は第8号」とあるのは、「、第2号、第4号又は第6号」とするとされました(法附則第3条)。
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関係者の皆様方、昨年は大変お世話になりました。
今年もよろしくお願いいたします。
ご依頼、ご相談いただいた方におかれましては、ありがとうございました。
また気軽にご相談下さい。
先日、消費者ネットワークかごしまの講演会に参加しました。
紹介された裁判例の中で、興味があったものについて概要を見てみました。なお本件は確定しています。
1.判決の概要
(1)事案の概要
本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人埼玉消費者被害をなくす会(以下「控訴人」という。)が、株式会社NTTドコモ(以下「被控訴人」という。)が不特定かつ多数の消費者との間でXiサービス契約及びFOMAサービス契約(以下「本件各契約」という。)を締結するに当たり、消費者契約法(以下「法」という。)第 10 条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当する本件変更条項(「当社は、この約款を変更することがあります。この場合には、料金その他の提供条件は、変更後の約款によります」との内容を有する契約条項)を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い、又は行うおそれがあると主張して、被控訴人に対し、本件変更条項を含む契約の申込み又は承諾の意思表示の停止を求めるとともに、これらの行為の停止又は予防に必要な措置として、本件変更条項が記載された本件各契約に係る契約書の用紙を廃棄すること及び当該廃棄を指示する書面を従業員に対して交付することを求めた事案である。
原判決(東京地方裁判所が平成 30 年4月 19 日に言渡し)が、本件変更条項が法第10条に規定する消費者契約の条項であるとはいえないとして、控訴人の請求をいずれも棄却したところ、控訴人が控訴した。
(※1)消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾
の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
(2)結果
控訴審(東京高等裁判所)は、平成 30 年 11 月 28 日、以下のように判断した上で、控訴人の控訴を棄却した(控訴人は、平成 30 年 12 月7日付けで上告及び上告受理申立てを行った。)。
ア 主たる争点
本件変更条項が法第 10 条に規定する消費者契約の条項であるといえるか。
イ 主たる争点についての裁判所の判断
① 本件変更条項は、控訴人の主張する法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して、消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項である(法第 10 条前段)といえるか。
㈠ 法第 10 条前段所定の「法令中の公の秩序に関しない規定」、すなわち任意規定には、明文の規定のみならず、一般的な法理等も含まれると解するのが相当である。
控訴人は、契約は当事者の合意によりはじめて拘束力を持つという意思主義の原則のもと、本件変更条項は当事者の一方が相手方の同意なく契約内容を変更することはできないという一般的な法理に比べて、契約者(消費者)の義務を加重する条項である旨主張する。他方、被控訴人は、契約の一方当事者は、個別に相手方と合意することなく、合理的な約款変更をすることができるという一般的な法理が既に確立しているから、本件変更条項は、この一般的法理に適うものであると主張する。
そこで、検討するに、本件変更条項について、次のような事情を指摘することができる。
(ア) 本件各契約の特殊性
本件各契約は、携帯電話の利用に係る通信サービスを提供する契約であり、不特定多数の相手方に対して均ーな内容の給付をすることを目的とするものという特殊性を有する契約であるところ、被控訴人の契約件数は 7000 万件を超えるものであるから、約款に定められた契約内容を変更するために常に顧客である契約者の個別の同意が必要であるとすると、その意思確認をするために多大な時間とコストを要することになり、一部の相手方から同意が得られない場合には、提供されるサービス内容に差異が生じることに伴う管理コストが増大する結果、契約者が負担するサービス利用料が増加し、ひいては不特定多数の相手方に対して均ーな内容の給付をするという目的を達成すること自体が困難になるおそれがある。また、本件各契約は、携帯電話の利用に係る通信サービス契約であるから、携帯電話機や通信に係る技術革新等に応じて、高い頻度で契約内容を変更する必要性が生じることも予想される。
これらの事情によれば、携帯電話の利用に係る通信サービスを提供する事業者である被控訴人にとって、契約者との間の本件各契約の内容を画ー的に変更する必要が生じた際に、契約者の個別の合意を得ることなく契約内容を変更する必要性が高いと共に、顧客にとっても、一定の場合には、個別の同意を得ることなく一方的に契約の内容を変更することを認めることによって、コストの増加を回避でき、不特定多数の相手方に対する均ーな内容の給付を可能にするという利益となる面があるといえる。
(イ) 約款変更に関する裁判例、約款法理を認める裁判例の存在
現代社会では、様々な約款が利用され、大量の取引を合理的・効率的に行っていることから、一定の場合には、変更後の約款は当事者を拘束することや、必要に応じて合理的な範囲において変更することが予定されており、既存顧客との個別の合意がなくとも、既存の契約に変更の効力を及ぼすことができる場合があることが裁判例で認められているといえる。
(ウ) 改正民法の定め
民法の一部を改正する法律(平成 29 年法律第44 号)による改正後の民法(以下「改正民法」という。)第548条の4第1項には、一定の場合に、定型約款準備者が定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる旨定められている。同項第2
号は、相手方に何らかの不利益を生ずる変更であっても、客観的に変更が合理的といえる場合には、一方的に約款を変更することを認めている。
そして、その合理性を判断するにあたって、「この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無」は、合理性判断の一考慮要素とされている。その趣旨は、定型約款にこのような変更条項が含まれていたのであれば、相手方は一方的に変更される可能性があることを予測し得たといえることから、定型約款の変更が合理的であることを肯定する事情の一つとして考慮することとしたものであると解されている。
そして、単に定型約款を変更することがある旨の規定を置くのみでは、合理性を積極的に肯定する事情として考慮することは難しいとされているが、相手方に、一方的に変更される可能性があることを予測させる機能は有していると考えられる。
(エ) 約款法理について
以上のような約款の性格、裁判例の存在、改正民法の定めによれば、本件各契約の内容となっている約款については、本件変更条項の有無にかかわらず、必要に応じて合理的な範囲において約款が変更されることは契約上予定されており、少なくとも「当事者の個別の同意がなくても約款を変更できる場合がある」という限度では、約款法理は確立しているものと認めるのが相当である。
そして、どのような場合に約款変更が認められるかは、個別に検討していくほかないが、現時点では、改正民法の定めが参考となり、契約の目的、変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款を変更することがある旨の定めの有無等に照らして、合理的なものであるか否かを検討する必要があるものと解される。
したがって、本件変更条項の有無にかかわらず、本件各契約約款は、一定の合理的な範囲で変更できると解するのが相当である。
㈡ そこで、本件変更条項が、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して、消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する条項といえるかにつき検討する。
この点、前記のとおり、約款法理に基づいて、一定の合理的な範囲において、個別の合意がなくても約款を変更することができる場合があるという限度においては、意思主義の原則の例外を認めることができること、本件変更条項は、以下に述べるとおり、一定の合理的な範囲においてのみ変更が許される趣旨と限定的に解すべきことに照らせば、これにより約款法理を含む一般的な法理を変更するものとは解されない。したがって、本件変更条項が、一般的な法理と比べて、契約者(消費者)の権利を制限し又は義務を加重する条項であるとはいえず、 控訴人の主張は採用できない。
本件変更条項は「当社は、この約款を変更することがあります。この場合には、料金その他の提供条件は、変更後の約款によります。」というものであり、その文言は抽象的であることから、文言上は事業者側を一方的に利する恣意的な変更も許容されるように読める。しかしながら、前記のとおり、約款法理は、一定の合理的な範囲において認められるものである。
最判平成5年7月 19 日(集民 169 号 255 頁)は、免責約款上に記載されていない文言を付加することによって、約款を合理的に限定解釈したものと解することができ、このように、約款の文言について合理的な限定解釈を加えることは認められるべきものであるから、たとえ無限定な変更を認めるかのような変更条項が存在したとしても、事業者側を一方的に利する合理性を欠く恣意的な変更が許容されると解釈する余地はない。したがって、本件変更条項は、「当社はこの約款を変更することがあります。この場合、料金その他の提供条件は、変更が客観的に合理的なものである場合に限り、変更後の約款によります。」との趣旨と解するのが相当である(ただし、条項自体からは、無限定の変更が許されるように読める点からすれば、文言の明確性の観点からも、変更が許される一定の合理的な範囲について、できる限り明確な文言により定めておくことが将来の紛争を防止するためにも望ましいものと思料する。)。
これに加えて、本件変更条項による約款変更の合理性は、変更の内容を問題とされるべきものであって、本件変更条項自体は、価値中立的なものである。消費者に有利な変更がされることもあれば、不利な変更がされることもあり得るのであって、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重するかは、変更される条項の内容次第であるから、法第 10 条該当性も、変更後の内容につき判断されるべきである。
被控訴人は、本件変更条項は、本来は確認的なものであるが、創設的な意味もある旨主張する。しかしながら、約款の変更条項が存在しなくても、一定の合理的な範囲において変更が許される場合があるという意味では、本件変更条項は、基本的に、創設的ではなく確認的な条項であるというべきである。そして、約款の変更があり得ることを告知する条項を約款に規定することにより、むしろ、消費者に「一方的な約款変更があり得ること」
について注意を促すという積極的な意味を有することは否定できない。仮に、このような抽象的な文言では、改正民法第 548 条の4第1項の解釈に照らして、 約款変更の合理性を積極的に肯定する意味を有するとまではいえないとしても、注意喚起の効果が否定できないことに照らせば、無意味な条項とはいえない。
㈢ 以上によれば、本件変更条項が、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して、消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する条項である(法第 10 条前段)とは認められない。
② 本件変更条項は、控訴人の主張する民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの(法第 10 条後段)に当たるか。
㈠ ある条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは、法の趣旨、目的に照らし、当該条項の性質、契約が成立するに至った経緯、消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断すべきである。
本件各契約は、携帯電話の利用に係る通信サービス契約であり、不特定多数の相手方に対して均一な内容の給付をすることを目的とし、被控訴人の契約件数が 7000 万件を超えるものである。携帯電話の利用に係る通信サービスを提供する事業者である被控訴人にとって、契約者との間の本件各契約の内容を画一的に変更する必要が生じた際に、契約者の個別の同意を得ることなく契約内容を変更する必要性は高いのみならず、このような変更は上記のサービス利用料の増加等を回避でき、不特定多数の相手方に対する均一な内容の給付を可能にするという意味において、これらの者にとっても利益となる面がある。
もっとも、本件変更条項によって確認されている約款法理により、契約者は、自己が個別に同意していないにもかかわらず変更後の契約内容に拘束されることになるのであるから、そうした意味で一定の不利益を被る可能性は否定できないところである。しかしながら、約款の変更は客観的に合理性を有するものでなければならないこと、また、変更後の約款は、その内容が任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重するものであり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものである場合には、法第 10 条により無効となる。このように、本件変更条項が存在するからといって、上記のような約款変更が当然に有効となるわけではなく、有効になし得る約款変更は上記の各場合に当たらないものに限られるから、契約者が被る一定の不利益は重大なものであるとはいえない。
㈡ これらの事情によれば、(a)本件変更条項によって確認されている約款法理により本件各契約約款の内容を変更する必要性は高いのみならず、(b)このような変更は契約者等にとっても利益となる面があるのであるから、こうした本件変更条項の性質や必要性、同条項により契約者が被る不利益の程度、同条項により追加された本件手数料条項の目的・内容の相当性等を総合的に考量すると、本件変更条項が、契約者と事業者である被控訴人との間の情報や交渉力の格差を背景として、契約者の法的に保護されている利益を信義則に反する程度に両当事者の衡平を損なう形で侵害しているということはできない。
㈢ 控訴人は、消費者が本件変更条項により被る不利益(法第10条後段)とは、(a)自己決定の自由の侵害と、(b)限定のない、いかような変更も受け入れざるを得ないという不利益である旨主張する。
上記(a)について、控訴人は、仮に、消費者が本件変更条項に基づく約款の変更に不満を持ったとしても、契約者が2年以内に解約する場合には数万円の解約手数料を支払わねばならない旨の条項を含んでいるため、被控訴人との契約から自由に離脱することができないことを指摘する。しかしながら、解約により契約の拘束から離脱すること自体はできるのであるから、控訴人の指摘は、前記認定を左右するものではない。控訴人は、中途解約や更新時期以外に解約する場合に解約金を支払わなければならないことを定めた解約金の支払に係る契約条項が存在することにより、消費者が自ら選択した時期に解約金を支払うことなく解約することができない場合があることを指摘するものと解されるが、解約金の額が法第9条第1号に規定する「平均的な損害」の額を超えて、過度に高額な場合には、それ自体有効性が問題となり得るし、高額の違約金が存在して解約が制限される事態については、諸々の合理性の判断の一要素として、変更が認められにくくなる一事情とも解されるから、控訴人の主張は採用できない。
また、上記(b)についても、控訴人は、本件変更条項によって「限定のない、いかような変更もできる」旨主張するが、前記のとおり、約款法理により、一定の合理的な範囲において約款変更ができるのであって、本件変更条項により、いかなる変更もできるということにはならないから、控訴人の主張は採用できない。
③ 当審における控訴人の補足主張に対する判断
㈠ 控訴人は、本件変更条項は、消費者にとって個別同意のない約款変更の合理的限界を見出すことのできない不明確かつ包括的な不当条項であり、事業者に対して消費者契約の条項の明確化を求めている法第3条の定めにもそぐわない旨主張する。しかしながら、仮に包括的な変更条項が、文字通りいかなる変更をも許す趣旨であれば、消費者の権利を害する不当条項といわざるを得ないが、本件変更条項が存在するか否かにかかわらず、一定の要件を満たした場合には約款変更が認められる場合があることは、当事者間に争いがないこと、本件各契約約款の変更に関して、その変更が許容される場合(すわなち合理性の基準)を全て網羅して本件変更条項に規定することは困難であって、文言が抽象的となることもある程度仕方ないものと思料されること、このことは、改正民法第 548 条の4第1項の規定も、「合理的な約款変更」の内容について、「変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき」と規定するに留まっており、事例ごとに様々な要素を総合的に考慮して判断することを前提としているものと解されること、前記のとおり、消費者に対し、約款が一方的に変更される場合があることを注意喚起する意味を有していることに照らせば、差止めを認めて、本件変更条項を直ちに削除すべきとまでは認められない。
㈡ 控訴人は、約款変更が認められるのは、利用者にとって有利な変更であるなど、いわゆる推定的同意が認められる場合に限られるから、無意味な同意を含む本件変更条項は、約款変更を肯定する直接の根拠とはなり得ない旨主張する。しかしながら、本件変更条項が、基本的に合理的な変更のみ許容すると解される約款法理を確認した趣旨と解されることは前記認定のとおりであって、控訴人の主張は、前記認定を左右するものではない。
㈢ 控訴人は、本件変更条項により一方的に約款の変更権を付与された被控訴人が合理的と判断する変更であれば有効な変更として消費者を拘束することにより、一定の不利益ではなく、変更後の約款に強制的に拘束されるから、消費者の権利を著しく制限している旨主張する。しかしながら、約款変更が有効なものとして当事者を拘束するのは、約款法理に照らして客観的に合理性が認められることが必要であり、また、改正民法施行後は、約款変更の要件(改正民法第 548 条の4)を満たす必要があるのであって、被控訴人が合理的と判断する変更であれば有効な変更となるものではないから、控訴人の主張は採用できない。
㈣ 控訴人は、被控訴人が有期契約で当事者を縛り、異議のある消費者に対して解約手数料を免除することもしていないことからすれば、本件変更条項が信義則に反することは明らかである旨主張する。そして、法制審議会の民法(債権関係)部会や文献等において、合理性を判断する要素として、相手方に解除権が与えられているなどの措置が講じられているか否かが要素となること、期間内の約款変更はよほどの場合でないと認められるべき
ではないなどの意見があったことが認められる。しかしながら、前記のとおり、中途解約ができないわけではないこと、解約金の額が法第9条第1号に規定する「平均的な損害」の額を超えて、過度に高額な場合には、それ自体有効性が問題となり得るし、高額の違約金が存在して解約が制限される事態については、諸々の合理性の判断の一要素として、変更が認められにくくなる一事情とも解されるのであるから、控訴人の主張は採用できない。
㈤ 控訴人は、本件変更条項には合理性の基準が用意されておらず、包括的なものであり、文言上いかような変更も可能である旨、実際にも本来は許されない約款変更が行われている現実がある旨主張する。しかしながら、本件変更条項の文言上、合理性の基準が用意されていないことは指摘のとおりであるが、前記のとおり、約款の変更は、約款法理に基づいてされるべきものであって、本件変更条項は確認的、注意的な規定に過ぎないものであるから、その文言が包括的であるとしても、本来は許されない合理性のない変更はなし得ないものであるから、控訴人の主張は採用できない。
④ 結論
以上によれば、本件変更条項は、法第 10 条の要件に該当するとは認められないから、控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当である。
訴訟代理人声明はこちら http://saitama-higainakusukai.or.jp/topics/181130_01.html
契約の各条項に関して適法性を検討することや明確性に関するガイドラインの作成等ももちろん大事ですが、一般消費者が契約する際にどのような点に気を付けて契約すべきかの法教育も国として力をいれてほしいところです。
現代の契約社会における契約書、契約約款は量が膨大ですから、その中からまずどの部分を拾い上げて視るべきなのかが大切ではないでしょうか。
未成年後見人は単に契約や財産管理のみが職務ではなく、児童の健全な成長を支援する大きな役割を担っています。司法統計からは未成年後見制度の利用は減少傾向にあることがわかりますが、特に未成年後見制度を適切に利用する必要がある児童相談所・児童養護施設の職員が未成年後見制度について十分な研修を受けておらず、未成年後見制度を利用した場合の児童に与える影響について理解が進んでいないことが原因ではないかと考えられます。
日本司法書士連合会の後見制度対策部では、未成年後見制度の理解を広め、適切な利用促進を図るため、児童相談所・児童養護施設職員や未成年者本人を含めた市民向けに、未成年後見制度の制度概要から有用性までわかりやすく解説した4つの動画を作成し、この度、下記のとおり YouTube に公開しましたので、お知らせいたします。
第1部「未成年後見ってどんな制度?」
URL:https://youtu.be/Dh2jtDgGiP8
第2部「未成年後見人選任の申立手続きについて」
URL:https://youtu.be/hkcUIv0POrs
第3部「未成年後見人って何ができるの?」
URL:https://youtu.be/EXy34zGqmI8
第4部「未成年後見制度は子どもにどんなメリットがあるの?」
URL:https://youtu.be/HbHziPwbHTQ
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改正法において、定款の定めに基づき、株式会社の取締役が株主総会資料(種類株主総会資料を含む。)の内容である情報を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主に対して当該ウェブサイトのアドレス等を株主総会の招集の通知に記載等して通知した場合には、株主の個別の承諾を得ていないときであっても、取締役は、株主に対して株主総会参考書類等を適法に提供したものとする電子提供措置の制度(以下「電子提供制度」という。)が創設されました(会社法第325条の2から第325条の7まで)。
電子提供措置に関する登記の手続き
(1)株式会社の設立の登記
定款に電子提供措置をとる旨の定めのある株式会社の設立の登記においては、その旨も登記すべき事項となり、登記記録の商号区に記録されます。
(2)電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定による変更の登記
ア 登記の期間
(ア)施行日において振替株式を発行している会社
施行日において振替株式を発行している会社については、施行日をその定款の変更の効力が生ずる日とする電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款の変更の決議をしたものとみなすとされたところ(整備法第10条第2項)、当該会社は、施行日より前にあらかじめ電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款の変更に係る株主総会の決議をした場合も含めて、施行日から6か月以内に、その本店の所在地において、電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定による変更の登記をしなければなりません。(整備法第10条第4項)。
なお、当該会社は、施行日から上記電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定による変更の登記をするまでに他の登記をするときは、当該他の登記を同時に、電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定による変更の登記をしなければなりません。(整備法第10条第5項)。
(イ)上記(ア)以外の株式会社
株主総会の決議により定款を変更して、電子提供措置をとる旨の定款の定めを設定したときは、当該定款の変更の効力の発生日から2週間以内に、その本店の所在地において、電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定による変更の登記をしなければなりません(会社法第911条第3項第12号の2、第915条第1項)。
イ 登記すべき事項
登記すべき事項は、電子提供措置をとる旨の定款の及び変更年月日です。
ウ 添付書面
(ア)施行日おいて振替株式を発行している会社
当該会社が施行日において振替株式を発行している会社であることを証する書面であり、具体的には、当該株式式会社の代表者の作成に係る証明書です。
(イ)上記以外の株式会社
株主総会議事録並びに株主リストです。
エ 登録免許税
申請1件につき3万円です(別表第一第24号(一)ツ)。
オ その他
公開会社でない会社又は株券発行会社から、上記ウ(ア)に掲げる書面を添付して電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定による変更の登記の申請がされた場合には、当該申請は却下されます。(振替法第128条第1項、商業登記法第24条第8号)。
支店の所在地における登記の廃止
支店の所在地における登記手続きは会社の負担軽減の観点から廃止されました。
したがって支店の登記記録は登記官によって閉鎖されます。(改正省令附則第2項、第3項)。
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単独親権者が子を代理して自身を任意後見受任者として締結した任意後見契約及び共同親権者である父母が子を代理して当該父母の一方又は双方を任意後見受任者として締結した任意後見契約については、民法第826条第1項に反して無権代理行為となることから、子が未成年である場合にあってはその特別代理人、子が成年に達しており意思能力を有する場合にあっては子本人、子が成年に達しており意思能力を有しない場合にあっては成年後見人のいずれかによって追認がされない限り、当該契約は子に対して効力を生じないものと考える。なお、追認は、公正証書又は公証人の認証を受けた書面による必要があるものと考える。
同様に、未成年の子の共同親権者の一方のみが子を代理して、他方の親権者を任意後見受任者として締結した任意後見契約についても、民法第818条第3項本文に反して無権代理行為となることから、上記と同様の追認がない限り、当該契約は子に対して効力を生じないものと考える。
なお、上記各契約が無償契約である場合には、子に対して効力を生ずる(令和4年1月24日法務省民一第136号)
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募集新株予約権の発行による変更の登記申請書には、募集新株予約権の引受けの申し込み又は会社法第244条第1項の契約(以下「総数引受契約」という。)を証する書面を添付しなければならないとされているところ(商業登記法第65条第1号)、複数の契約書により1つの総数引受契約が締結された場合における募集新株予約権の発行に係る総数引受契約を証する書面の取扱いについては、下記のとおりとする。
募集新株予約権の発行による変更の登記の申請書に、募集新株予約権の発行会社の代表者が作成した総数引受契約があったことを証する書面に総数引受契約書のひな形及び引受者の一覧表を合綴したものが添付された場合には、当該書面を商業登記法第65条第1号の総数引受契約を証する書面として取り扱って差し支えない。
なお、総数引受契約があったことを証する書面には、総数引受契約書の枚数、引受けがあった募集新株予約権の数、募集新株予約権の払込金額(無償で発行する場合を除く。)及び割当日を記載し、当該記載事項のとおり総数引受契約があったことを証する旨を記載した上で、発行会社の代表者が記名する必要がある。
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・返済免除は、資金の種類ごとに一括して行います。
①緊急小口資金、②総合支援資金の初回貸付分、③総合支援資金の延長貸付分、④総合支援資金の再貸付です。
・借受人と世帯主が住民税非課税(均等割・所得割いずれも)であれば、返済免除の対象とします。そのほかの世帯員の課税状況は問いません(※免除決定時点で返済している金額は免除対象外)。
・ 免除要件等は、資金種類により異なります。
・ 上記以外にも、判定年度以降に借受人及び世帯主が住民税非課税となった場合のほか、返済中に借受人の死亡や失踪宣告、精神保健福祉手帳(1級)または身体障害者手帳(1級または2級)の交付を受けた場合、自己破産等の返済中も返済困難な状況があれば、全部または一部の返済を免除できる場合があります。
・返済免除は申請が必要です(※対象の方は自動的に免除されるわけではありません)。
社会福祉協議会からの通知をご確認のうえ、期限内の申請をお願いします。
転居等で申請時と住所が異なる場合は、貸付申請の手続きをした社会福祉協議会までご連絡ください。
詳しくは厚生労働省ホームページをご覧ください。
(1)司法書士が解説「気を付けよう!オンラインサロン~①儲け話編~」
URL:https://youtu.be/7RxTnrW1Npo
(2)司法書士が解説「気を付けよう!オンラインサロン~②マルチ商法編~」
URL:https://youtu.be/bPkfDyemjwg
(3)司法書士が解説「気を付けよう!オンラインサロン~③サロンを運営する際に知っておくべき法律編~」
民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 本法施行後において、訴訟手続の電子化が速やかに行われ、適切な裁判が実施されるよう環境整備及び事務負担の軽減に努めること。
二 訴訟手続の電子化を円滑に進めることが利用者の利益になるという観点から、施行後五年を経過した場合における検討に当たっては、改正法の施行状況や施行後の情報通信技術の進展等の社会経済情勢を踏まえつつ、電子情報処理組織による申立て等の利用を拡大・促進するための方策について検討すること。
三 訴訟代理人に委任しない者が電子情報処理組織による申立て等を容易に利用できるよう、関係機関及び日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会等と連携し、必要に応じて弁護士・司法書士等による支援を受けられる環境整備に努めること。
四 訴訟手続は国民の権利関係の得喪に深くかかわり、その電子化は重大な事柄であるから、制度の円滑な施行を実現し、その利用を促進するため、関係機関及び日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会等と連携して、制度の周知を十分に図ること。
五 裁判所の電子情報処理組織を構築するに当たっては、サイバー攻撃などで訴訟記録が流出して訴訟関係者のプライバシー侵害が起こらないよう、適切なセキュリティ水準を確保するとともに、誰でも分かりやすく使いやすいものとするよう努めること。
六 訴訟記録を電子化するに当たり、事件記録の保存期間を広げるとともに、判決書については、国民が調査や分析しやすいものとなるよう努めること。
七 ウェブ会議の方法による証人尋問等については、心証形成が法廷で対面して行われるものとは異なる場合もあることを踏まえ、裁判所における相当性の判断が適切に行われるよう法制度の趣旨について周知すること。
八 口頭弁論等における当事者等のウェブ会議による参加については、当事者や証人へのなりすましを防止すること及び第三者からの不当な影響を排除すること並びにウェブ会議の録音・録画を防止することを確保できるよう努めること。
九 訴えの提起の手数料の在り方について、本法施行後における裁判手続の事務処理の実態等のほか、訴える側の資力により、適正な訴額の請求を断念せざるを得ない状況があるとの指摘も踏まえつつ、負担の公平の見地から、必要な検討を行うこと。
十 訴訟手続の電子化を速やかに実現させるため、裁判所の必要な人的態勢の整備及び予算の確保に努めること。
十一 民事訴訟手続を利用する障害者に対する手続上の配慮の在り方について、本法施行後の制度の運用状況及び障害者の意見も踏まえて、障害者のアクセスの向上に資する法整備の要否も含めて検討し、必要な措置を講じること。
十二 附則第百二十六条の規定による検討については、改正法の施行状況や施行後の情報通信技術の進展等を踏まえて、適時に行うこと。
現状は、どんなに電子化しても結局、裁判書類を印刷して裁判に臨んだり、ウェブ会議の運用も限定的だったりするじゃないかという批判の声も聞こえてくるようですが、IT化に向けて第1歩を踏みだすことは大事だと評価します。
その他、ウェブでの事件記録の閲覧や刑事事件の証拠のデジタル化も進めば、社会全体の利益に資することになります。
隣地の所有者が不明な土地や共有者(相続人)が多数存在する土地等(隣地所有者の筆界確認情報を得ることが困難な土地)について、取引に必要な登記手続を円滑に行うことを可能とするため、申請人の負担軽減 を図りつつ、筆界認定の適正性を確保する新たな運用を令和4年度から開始(令和4年4月14日付け通達発出)します。
これまでの取扱いと課題👇
①土地取引の際には、土地を測量した上で、登記簿上の地積を修正する「地積更正の登記」や土地を分割する「分筆の登記」が行われることが多い。
②この登記を行うためには、対象土地の区画を把握するため、隣地との筆界の認定が必要。※筆界は、土地間の公的な境(所有権境と異なる)
③ これまでの実務では、筆界の認定のための有力な証拠として申請人が隣地所有者との間で取り交わした筆界確認情報(筆界確認書)を申請書に添付している(印鑑証明書の添付を求める場合もある。)。
④他方で、近年、所有者不明土地の増加や、隣人関係の希薄化に伴い、隣地所有者から筆界確認情報を得ることが困難なケースが増加。
結果として取引の前提である登記が進まず、 土地取引の阻害要因となっていました。
今回の運用見直しのポイント👇
①登記官の調査によって筆界が明確と認められる場合(精度の高い地図がある場合等)には、筆界確認情報の提供を求めないこととする。
②相続人全員ではなく、相続人のうち現に占有する者のみで足りるとするなど、筆界確認情報を求める範囲を必要最小限にする。
③隣地所有者の押印や印鑑証明書の添付は求めないこととする。
④筆界確認の重要性は従来と変わらないから、申請人の負担を軽減しつつも、登記官の必要な調査により筆界認定の適正性は十分確保する。従来は筆界確認情報に重きが置かれていた筆界の認定を、現地調査の権限や登記所保管資料を活用して、登記官がより積極的に行う。
法務局の取扱要領の改訂等を経て、令和4年10月3日から、全国全ての法務局に
おいて運用を開始します。
効果として、これまで登記が困難であった事案についても、円滑な登記手続が容易となり、円滑な土地取引が実現することが期待されます。
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預金通帳の写し又は取引明細表その他払込取扱機関が作成した書面に記載された払込みの時期については、設立時発行株式に関する事項が定められている定款(商業登記法第47条第2項第1号)の作成日又は発起人全員の同意があったことを証する書面(同条第3項)に記載されているその同意があった日後に払い込みがあった場合はもとより、その前に払い込みがあった場合であっても、発起人又は設立時取締役(発起人からの受領権限の委任がある場合に限る(平成29年3月17日付法務省民商第41号民事局長通達)の口座に払い込まれているなど当該設立に際して出資されたものと認められるものであれば、差し支えない。
これまでは会社設立に際して、定款認証日後に資本金の払い込みをするよう運用していた事務所が多数だったと思われますが、これからは上記通達により、依頼人とのスケジュールが組みやすくなりますね。
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相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。
このような土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
相続土地国庫帰属制度は、令和5年4月27日からスタートします。
相続土地国庫帰属制度のポイントは、以下のとおりです。
(1)相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて、承認を申請することができます。
(2)法務大臣は、承認の審査をするために必要と判断したときは、その職員に調査をさせることができます。
(3)法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認をします。
(4)土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた方が、一定の負担金を国に納付した時点で、 土地の所有権が国庫に帰属します。
帰属の承認ができない土地
帰属の承認ができない土地の要件については、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号。以下「法」といいます。)において定められています。
法律の要件の概要は以下のとおりです。
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
詳しくは法務省ホームページを参照ください。
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会社法は取締役と株式会社との間で利益が相反する取引に対して規制をかけています。
具体的には、取締役会や株主総会の承認が必要です。
(競業及び利益相反取引の制限)
会社法第356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号又は第三号の取引については、適用しない。
(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)
第365条 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。
2 取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
利益相反取引には、直接取引(取締役が自分または第三者のために取引する行為)と間接取引(会社と第三者との取引であって会社と取締役との利益が相反する取引)があります。どちらも規制の対象です。
直接取引の具体例としては、会社名義の不動産を取締役に名義変更する取引などがあります。
仮に売買代金が適正である売買契約であったとしても、その売買取引行為そのものが利益相反のため規制の対象となります。
間接取引の具体例としては、取締役が借金をする際に会社名義の不動産を担保に入れる取引などがあります。物上保証契約は会社と債権者間との契約であり、取締役は契約の当事者ではないため直接には関係がありませんが、実質的に取締役の利益となり会社の不利益となる行為であることから規制の対象となります。
これらの行為を行う場合は、株主総会、取締役会に対し重要な事実、例えば不動産取引であれば、売買代価・不動産の詳細・取引相手・取引の必要性などを開示し、承認を受けなければなりません。
承認を得ずに行った取引行為の有効性はどうなるのでしょうか?
判例は以下のとおり考えています。
①取締役と会社間との間に直接成立すべき取引については、会社は取締役に対してその無効を主張できる。
②取締役が会社を代表して自己のためにした第三者との間の取引については、第三者が取締役会の承認を受けていなかったことについて悪意であるときに限り、会社は第三者に対してその無効を主張することができる。(最大判昭和43.12.25)
②は、取締役がその取引についての承認を会社から受けていなかったことについて第三者が知っていた場合に限り、会社がその第三者に対して取引の無効を主張できるものとしています。
つまり、上記のとおり基本的に会社は取引の無効を主張できませんから、善意の第三者の保護を図り取引の安全確保に資する判例と言えます。
このように会社が取引の無効を主張できない場合、当該取締役はどのような責任負うのでしょうか?
会社法では下記のとおり取締役等に損害賠償責任が発生すると規定しています。
(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
第423条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役
二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役
三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)
4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。
次回は利益相反取引に関する不動産登記手続きについての注意点をお伝えします。
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厚生労働省においては、令和3年度においても特に多くの新入生がアルバイトを始める4月から夏休み前の7月までを実施期間として、「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で展開しております。
以下の事例で考えます。
【事例】
Aさんは会社を経営していましたが、生前に長男Bに対して株式全てを贈与し、経営を託しました。その際、会社の経営状態は赤字続きで当時の株式時価総額は0円に近いものでした。
その後、Bさんは引き継いだ会社を立て直しました。
そして株式の贈与後8年経過したときにAさんが亡くなりました。
相続人は長男B及び次男Cです。
Aさん死亡時の株式時価総額は1000万円にも達していました。
Aさんの財産はありませんでした。
CさんはBさんが受けた株式の贈与を特別受益にあたるとして遺留分侵害額請求権を行使しました。これは認められるのでしょうか?
【結論】
特別受益の評価は相続開始時を基準に判断されますから、本事例の場合Bさんは1000万円の特別受益を得たことになり、遺留分算定の基礎価額に1000万円が加算され、遺留分侵害額請求が認められそうですが、平成10年3月24日最高裁判決は以下のとおり説示し、一定の事情がある場合には遺留分侵害額請求の対象とならないとしています。
平成10年3月24日最高裁判決
民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、同法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となる。
全文→平成10年3月24日 最高裁判所第三小法廷 判決(PDF)
本事例でいうと、Bさんは株価の上昇は自分自身の多年の努力によるものであること、そしてCさんが何ら経営に関与しなかったことなどを最高裁判例でいうところの「特段の事情」として主張立証して争うことが考えられます。
なお、Bさんが相続放棄をした場合はどうでしょうか。
この場合、特別受益としての扱いでは無くなるため、民法1044条が適用されます。
第1044条
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
Bさんとしては、株式の贈与を受けた当時、その株式に価値がなかったことを主張し、遺留分権利者に損害を加える認識がなかったことを立証して遺留分算定の基礎財産に同株式の参入を回避することができると考えられます。
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以下抜粋です。
学生アルバイトをめぐる問題においては、その未然防止を図るため各都道府県労働局が各
大学等と連携し、適宜対応を行っているところです。
この対応の一環として、厚生労働省においては、令和2年度においても、特に多くの新入
生がアルバイトを始める4月から夏休み前の7月までを実施期間として、「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で展開することとしました。
今回のキャンペーンでも、アルバイトを始める前の労働条件の確認を促すため、学生への
リーフレットの配付等による周知・啓発や、労働局による大学等での出張相談などを行います。
令和2年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンの概要
1 実施時期 令和2年4月1日から7月31 日まで
(特に多くの新入学生がアルバイトを始める時期)
2 重点事項
① 労働契約締結の際の学生アルバイトに対する労働条件の明示
② 学業とアルバイトが両立できるような勤務時間のシフトの適切な設定
③ 学生アルバイトの労働時間の適正な把握
④ 学生アルバイトへの商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
⑤ 学生アルバイトの労働契約の不履行等に対して、あらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止
不動産をAさんからBさんに、BさんからCさんに順次売却した場合、不動産の登記手続きとしては①AからBへの所有権移転登記 ②BからCへの所有権移転登記の2つを順次申請しなければなりません。
不動産の登記手続きは権利の変動順に忠実に行わなわなければならないからです。
例えば相続が発生し相続人がその不動産を売却する場合には、まず相続登記が必要なことと同じです。世の取引安全のための制度です。
新中間省略登記では権利変動を1つとする法律構成と執ることでAからCへの所有権登記を実現します。
新中間省略登記と謳ってありますが、いわゆる中間省略をしているわけではありませんので何ら違法ではありません。名称が不適切かなと感じます。
法律構成としては2パターンあります。
1つ目は
「第三者のためにする契約」
これはAB間で、Cに直接名義を移すという特約を盛り込んだ契約を用いて行う手法です。
第三者のためにする契約の典型例としては保険金の受取人を指定する生命保険契約などが挙げられます。
具体的には、AB間で「所有権を取得する者はBが指定する者とし、売買代金の支払いを条件としてAは本件不動産の所有権をBの指定する者に対し直接移転することとする。この条件が完成するまで、所有権はAに留保される」という特約付きで売買契約を締結します。
次にBC間で売買契約を締結します。Bは不動産の所有権者ではありませんのでこの売買契約は他人物売買(民法第561条)ということになります。このBC間の契約は必ずしも売買契約である必要はありませんが、売買である方がCの理解を得られやすいでしょう。またBが不動産業者であればBC間は売買契約となることが多いと思われます。
そしてCがその不動産の所有権を取得するという意思表示(受益の意思表示)を行い、CがBに、BがAに代金を支払うことによって、所有権はAからCに直接移転することとなります。
注意すべきはCが受益の意思表示をして所有権を取得したとしても、BからAに代金が支払われていなければAはCへの所有権移転登記手続きを拒絶でき(民法第539条)また契約内容に問題があったとして詐欺・錯誤等を考える場合もCは契約の当事者ではありませんが、当事者に準じた立場ということで第三者保護規定は適用されず、AはCに対し契約に関する瑕疵を主張することができます。
CはAB間の契約の信用性をよりいっそう確認する必要があり、代金の決済についても確認する必要があるということです。
実務上は同席または同時決済も多々あります。それぞれ代金決済が別日となる場合は取引安全のため特に注意が必要です。
(第三者のためにする契約)
民法第537条
契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
※2は改正民法(最判昭37.6.26を条文化したもの)
(他人の権利の売買における売主の義務)
第561条
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
(債務者の抗弁)
第539条
債務者は、第五百三十七条第一項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。
2つ目は
「買主の地位の譲渡」
これはCがBへ対価を払って買主の地位を譲り受けることです。
この契約は3者間で締結するか、またはBC間で契約したものをAが承諾するという形をとります。契約者としての地位がまるごと移転するわけですからBは買主としての地位を離脱し買主としての権利義務や契約内容はすべてCに引き継がれます。取引安全についてはAC間で考えることになります。またAB間の契約上の地位をCが引き継ぐためAB間の売買代金額をCが把握できることになります。
第539条の2
契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
※改正民法(これまでの通説を条文化したもの)
どちらを選ぶかは事案の性質によるかと思いますが、中間者が不動産業者の場合は取引安全のために「第三者のためにする契約」の選択を推奨します。
その理由の補足は下記をご覧ください。
新中間省略登記メリットは
①中間者への登録免許税が節約できる。
②中間者は不動産を取得しないので不動産取得税を節約できる。転売目的の場合、売却までの固定資産税も節約できる。
デメリットは
異時決済ではAに名義が残るためAが無断で他人に名義変更する危険が残ってしまう。
といったところでしょうか。
当事務所では取引安全を考慮した、そしてクライアントのご要望に沿うような契約書作成を承っております。また取引安全のための立会業務も当然行っております。
お気軽にご相談下さい。
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不動産を売却したら、売却益から不動産取得費等の経費を引いた金額に対して譲渡所得税が課税されます。
つまり売却によって儲けが出ない場合は、この税金を考える必要がありません。
譲渡益が生じる場合は、譲渡所得税、住民税・復興特別税が発生します。
そのため相続不動産のうち数個だけ売却して売買代金を相続人で分ける場合には、譲渡益を出さないためにどの不動産を売却するのがよいのか、後述する制度を利用するためにはだれが相続すべきか検討しなければなりません。
以下、親が亡くなり親所有の不動産を子が相続し売却した場合の譲渡所得税を記載します。
①子が親所有の不動産に居住していた場合👇
3000万円の特別控除が適用できます。
すなわち売却金額から3000万円を引くことができます。計算した結果、課税金額がゼロ以下であれば譲渡所得税は発生しません。
制度の概要、要件は下記リンクをご覧ください。
②相続税が発生する場合はどのような制度があるか👇
相続税を取得費に加算できます。
すなわち譲渡所得から相続税額を引くことができます。
相続税は各相続人によって異なります。
制度の概要、要件は下記リンクをご覧ください。
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 国税庁
③親所有の不動産が空き家だった場合はどのような制度があるか👇
一定の要件を満たせば3000万円の控除を受けることができます。
制度の概要、要件は下記リンクをご覧ください。
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 国税庁
これらの制度を踏まえつつ誰が相続するのが最適か検討する必要があります。
要検討案件については提携している税理士とともにに検討していきますのでお気軽にご相談ください。
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鹿児島市谷山の株式会社様から代表取締役の住所変更登記手続きのご依頼がありました。この会社は6年前に新規会社設立のご依頼を頂いた会社です。
当事務所は鹿児島市中心に対応しております。
代表取締役の住所に変更があった場合、住所変更の登記手続きが必要です。
住所を変更してから2週間以内に行わなければなりません。
登記手続きを怠ると100万円以下の過料に処せられる可能性があります。
過料とは「科料」という刑事罰ではありませんので前科にはなりません。行政罰です。
2週間以上放置すると即座に過料が課されるのか👇
実際の流れとしては、
①法務局に登記申請書を提出する
②登記官が申請書の内容から、これまで手続きを怠っていたことを発見する
③登記官が裁判所に報告する
④裁判官が過料の処分を検討する
⑤過料に処すべきと判断した場合は過料決定通知書を発送する
となります。裁判官が裁量で決定します。
これまで携わってきた案件では、1年以内に登記をしていれば過料は課されていないようです。ただし裁判官の裁量ですのでケースバイケースです。
登記をしなかった期間が短くても過料通知が来た事例もありますし、長く放置しても通知がこなかった事例もあります。
100万円以下とあるが実際いくらなのか👇
金額も裁判官が判断します。放置期間が長いほど金額が大きくなる傾向です。これまでの経験では数年放置で3万円~10万円といった印象です。
誰が払うのか👇
過料決定通知書は会社の代表者個人宛に届きます。
代表者に支払い義務が発生します。会社の経費にはなりません。
この通知書が届くのは登記申請日から数ヶ月後のようです。
会社代表者の住所に変更が生じたときはお早めに手続きを行なってください。
申請方法などお気軽にご相談ください。
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会社法
(変更の登記)
第915条
会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
第911条
3 十四 代表取締役の氏名及び住所(第二十三号に規定する場合を除く。)
(過料に処すべき行為)
第976条
発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第九百六十条第一項第五号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第二項第三号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第九百六十七条第一項第三号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
商業登記規則
(過料事件の通知)
第118条 登記官は、過料に処せられるべき者があることを職務上知つたときは、遅滞なくその事件を管轄地方裁判所に通知しなければならない。
結論からいうと、ギャンブルによる借金でも債務整理手続きは可能です。
まず任意整理について
問題なくできます。
任意整理とは債権者との話し合いによって無理のない返済計画を組みなおすことです。
これまでに携わった案件で債権者との交渉の際に、借金の理由は聞かれたことがありません。債権者としても合意内容どおりの返済があればよいと考えていると思われます。
次に個人再生手続について
個人再生についても問題なく利用できます。
個人再生とは裁判所が関与する整理手続きです。
負債額を法律に基づく計算で導かれた金額まで圧縮し、裁判所が関与して作成された返済計画に従って返済していく手続きです。
個人再生は借金の原因での制限はありません。
民事再生法
(再生手続開始の決定)
第33条
裁判所は、第二十一条に規定する要件を満たす再生手続開始の申立てがあったときは、第二十五条の規定によりこれを棄却する場合を除き、再生手続開始の決定をする。
2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。
(再生手続開始の申立て)
第21条
債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは、債務者は、裁判所に対し、再生手続開始の申立てをすることができる。債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときも、同様とする。
第25条
次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
一 再生手続の費用の予納がないとき。
二 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
最後に自己破産手続きについて
破産が認めらない「免責不許可事由」のひとつとして「浪費または賭け事で著しく借金をした場合」というものがあります。
破産法
(免責許可の決定の要件等)
第252条
裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
四 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
インターネットには様々な情報が錯そうしており、「ギャンブルの場合は破産できない」としているサイトも見受けられますが、一律でそのような取り扱いはありません。
そもそも破産制度は多重債務者を救済するために古くから制度化されたものであり、やむを得ずに借金をした人もいれば、様々な誘惑に飲まれてしまったという人もいるところ、それぞれの事情を勘案した上で特に問題が無ければ借金をゼロにするという法律です。
例えば仕事上のストレスでギャンブルをする場合もあれば、日々の生活でどうしても収入が少なく、立ち行かないためギャンブルに賭けてみてしまった、、その結果依存症にまでなってしまったという事例もあります。
人間、さまざな事情を抱えています。
それをギャンブル一点で破産できないとするならかえって制度そのものが意味のないものになってしまいます。
かといって一律に破産できるわけでなく、借金に至るプロセスと今後どう立ち直っていくのかを裁判所に提示し「申立者は破産手続を適用してもよい」と裁判所に判断してもらう必要があります。
第252条
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
借金問題でお悩みでしたらお気軽にご相談下さい。
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遺留分とは「遺産のうち最低これだけは取得できる」という法が認める相続人の権利です。
本来、自分の財産はどのように処分しようが、また遺言で誰に相続させようが自由です。
たとえば次男に全財産を相続させるとする遺言も可能です。
しかし、「各相続人の遺産に対する期待や各相続人の被相続人の財産形成に対する貢献を全く無視するわけにもいかないのではないか」という考え方があります。
それを具現化したものとして遺留分制度が認められていると解されています。
個人の尊重を重んじる憲法にはいささかそぐわないかもしれませんが、旧民法の遺留分制度が新時代にもそのまま残されたということは相続人間の平等という事柄も保護に値すべきと考えられたと、そう思います。
誰がどのくらいの割合で遺留分を行使することができるのか👇
子供のみが相続人である場合
↓
1/2
子供と配偶者が相続人となる場合
↓
子供が1/4、配偶者が1/4
配偶者と直系尊属が相続人となる場合
↓
配偶者が2/6、直系尊属が1/6
直系尊属のみが相続人となる場合
↓
1/3
遺留分以下の各相続人は、遺留分を超過して相続した者に対し、上記の割合に達するまで金銭請求する権利を有します。
遺言書を作成される際には十分留意しておく必要があります。みすみす紛争を起こさないためにも「遺産争族」となりそうな肌感覚の場合は専門家に相談してください。
遺留分の対象となる財産はどのようなものか👇
相続発生後の相続分の指定や遺贈に限られません。
すなわち相続開始前1年以内に行われた贈与や遺留分を侵害する意図で行われた贈与は遺留分請求の対象となり得ます。
遺留分の権利はどのように行使するのか👇
遺留分権利者は受遺者または受贈者に対して侵害された遺留分に相当する金銭を請求する権利「遺留分侵害額請求権」を行使して金銭を受け取ることができます。
遺留分侵害額請求権を行使するかしないかは本人に任されています。行使しなければ時効にかかります。
必ずしも裁判手続きを利用する必要はありません。
なお遺留分侵害額請求権を行使することができる相手方が複数存在する場合は、民法1047条の規定に従って行使します。
すなわち
①受遺者と受贈者が存在する場合→まず受遺者に対して行使します
②受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合でその贈与が同じ日時に行われた場合→その額の割合に応じてそれぞれに対し行使します
③受贈者が複数いて贈与の日時がそれぞれ異なるとき→相続開始日に近いほうから行使します
遺留分侵害額請求権はいつまで行使することができるのか👇
遺留分を行使する者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅します。相続開始の時から十年を経過したときも同様に時効消滅します。
また各相続人は被相続人の生前は家庭裁判所の許可を受けた場合に限り遺留分放棄の手続きをとることができます。
遺留分はあくまで相続人保護のための制度ですから放棄を認めるかの家庭裁判所の判断は以下の基準に従って厳格に行われます。
①自由な意思に基づいて行われたものであるか
他の相続人が脅して放棄させていたら大変なことです。
②遺留分放棄に合理的な理由と必要性があること
感情的な理由では不可となります。
③放棄の代償として経済的価値のある対価をうけていること
生前に十分な援助を受けていた場合などが該当します。
そして遺留分の放棄は一度行うと原則として撤回はできません。
ただし撤回を必要とする特別な事情がある場合は家庭裁判所の許可を得て撤回できる可能性はあります。
遺留分を行使できない人とはどのような人か👇
①兄弟姉妹
②相続放棄したもの
③相続欠格者
(相続人の欠格事由)
第891条
次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
④相続人として排除された人
(推定相続人の廃除)
第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
(遺言による推定相続人の廃除)
第893条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
特定の相続人に財産をどうしても与えたくない場合、遺言者は上記④を行使すれば遺留分を封殺することができます。ただし実務上、家庭裁判所が廃除を認めるハードルは高いものとなっております。
また廃除の事実は戸籍謄本に記録されます。
戸籍法第97条
第六十三条第一項の規定は、推定相続人の廃除又は廃除取消の裁判が確定した場合において、その裁判を請求した者にこれを準用する。
第63条
認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
戸籍法施行規則
第35条
次の各号に掲げる事項は、当該各号に規定する者の身分事項欄にこれを記載しなければならない。
八 推定相続人の廃除に関する事項については、廃除された者
遺留分制度は法律改正がなされ、従前は遺留分減殺請求権を行使した場合、その侵害行為自体が無効として扱われていましたが、改正後は「金銭請求権を行使することができる」というシステムに変貌しました。
不動産に対する行使も容易となるため、紛争防止の観点からは相続人どおしで話し合いができれば一番いいことだと思います。
遺留分の存在を秘したりすることはかえって紛争の火種になりかねません。
一度専門家にご相談されることをお勧めします。
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第九章 遺留分
(遺留分の帰属及びその割合)
第1042条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。
(遺留分を算定するための財産の価額)
第1043条
遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。
2 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。
第1044条
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
2 第九百四条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。
3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。
第1045条
負担付贈与がされた場合における第千四十三条第一項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。
2 不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。
(遺留分侵害額の請求)
第1046条
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。
一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額
二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額
(受遺者又は受贈者の負担額)
第1047条
受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第千四十二条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担する。
一 受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。
二 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
三 受贈者が複数あるとき(前号に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。
2 第九百四条、第千四十三条第二項及び第千四十五条の規定は、前項に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用する。
3 前条第一項の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって第一項の規定により負担する債務を消滅させることができる。この場合において、当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。
4 受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。
5 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第一項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第1048条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
(遺留分の放棄)
第1049条
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
配偶者居住権が成立する場合、建物所有者は配偶者に対し配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います。
登記事項は「存続期間」及び「第三者に居住建物の使用または収益をさせることを許す旨の定めがあるときは、その定め」です。(不動産登記法第3条9号、81条の2)
登記手続きは原則通り共同申請となります。遺言があったとしても当然には配偶者が単独で申請することはできません(遺言執行者が配偶者であれば従前どおり登記権利者兼登記義務者して可能)。審判手続で確定したものについては、登記義務の履行を命ずる審判を取得すれば単独で申請することができます。
登記は第三者に対する対抗要件です。
つまり登記をしておかなければ、建物が売却されて見ず知らずの第三者に渡ってしまったときは配偶者居住権を主張できず第三者の明け渡し請求に対して配偶者は応じなければなりません。
登記をしておけば、所有権者と同様に建物への妨害排除請求権、返還請求権を行使することができます。
善管注意義務などは配偶者短期居住権と同様です。
なお、配偶者は居住建物について通常の必要費を負担しなければなりません。
つまり、固定資産税や居住にあたって通常発生する必要費は配偶者が負担しなければなりません。
これ以外の非日常的な必要費(例えば災害による修繕費)や有益費(例えばリフォーム代)はその価格が現存する場合に限り、配偶者は建物所有者に対して償還請求することができます(第196条)。払った分を返して下さいと言えるということです。
最後に 配偶者居住権の消滅について
相続後に配偶者が高齢者施設等に入所することとなったときなど、居住権を現金化するためには建物所有者に買取を要求するか、相続人の承諾を得て第三者に建物を賃貸借する方法しかありません。配偶者居住権の買取請求権は条文化されていないため、遺産分割協議で将来的な買取条件について別途合意するなどあらかじめ現金化のための策を講じておくとなお良いかと思います。
①配偶者が居住建物の用法遵守義務や善管注意義務に反した場合、居住建物の所有者は配偶者に対する意思表示により配偶者居住権を消滅させることができます。
②配偶者は居住建物が消滅し居住建物を返還するときは相続開始後に居住建物に付属させた物を収去する義務を負います。また、相続開始後に居住建物に生じた損傷を現状に回復する義務を負います。
③配偶者が死亡したときは配偶者居住権は消滅します。
④配偶者居住権の対象建物が滅失したときは配偶者居住権は消滅します。
以上、配偶者居住権についてでした。
今後、本制度の需要が見込まれます。
お気軽にご相談ください。
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(配偶者居住権の登記等)
第1031条
居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
(不動産賃貸借の対抗力)
第605条
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
第605条の4
不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求
(配偶者による使用及び収益)
第1032条
配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
4 配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。
(居住建物の修繕等)
第1033条 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
2 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。
3 居住建物が修繕を要するとき(第一項の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
(居住建物の費用の負担)
第1034条
配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
(居住建物の返還等)
第1035条 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
(使用貸借及び賃貸借の規定の準用)
第1036条
第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条、第六百十三条並びに第六百十六条の二の規定は、配偶者居住権について準用する。
(期間満了等による使用貸借の終了)
第597条
当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
2 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第600条
契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
(転貸の効果)
第613条
賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)
第616条の2
賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
行政機関の職員を名乗った者などからの怪しい電話や訪問、心当たりのない送信元からの怪しいメールなど、怪しい・おかしいと思うものには反応しないようにしましょう。
新型コロナウイルスに便乗した悪質な勧誘を行う業者には耳を貸さないようにしましょう。
不審に思った場合や、トラブルにあった場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。今後、新たな手口の勧誘が行われる可能性があります。少しでもおかしいと感じたら早めにご相談ください。
「給付金の手続きに暗証番号などが必要である」
「マスクを届けるので住所を教えてほしい」
「新薬開発できそうなので株や社債を買わないか」
「マスクを買えるという通販サイト」
これらは実際に消費生活センターに寄せられた相談事例です。
これから手口が巧妙化してくると思われますので、少しでもおかしいと感じた場合は身近な人や相談窓口に相談して下さい。
高齢化社会では配偶者が死亡した時点で他方配偶者も高齢になっているケースは少なくありません。残された配偶者のこれから人生において、住み慣れた家での生活及び生活資金の確保は大切なテーマとなってきます。
今までの制度では、例えば被相続人の財産
自宅(評価2000万円)
預貯金(3000万円)
相続人
妻と子1人
である場合に
妻は自宅を相続し、預貯金についてもある程度相続したいと考えていたところ、子は法定相続分どおりの権利を主張し、話し合いの結果、法定相続分でしか折り合いがつかなかった場合、以下のとおりとなります。
妻→自宅2000万円+預貯金500万円
子→預貯金2500万円
住み慣れた自宅での生活を確保する代償として、相続できる現金が少なくなります。
逆に預貯金額を確保しようとするならば、家を換価して分けるしかありません。
そこで新民法において、配偶者は「その土地建物について処分や収益行為はできないが無償で建物を居住できる」配偶者居住権という権利を新たに創設しました。所有権者とは別の概念です。つまり配偶者が自宅の所有権を取得しなかったとしても、この配偶者居住権さえあれば住むことはできるということです。ある意味使用貸借(無償の賃貸)みたいなものです。
配偶者居住権は、居住権としての価値を算出し相続分を計算します。
具体的には
「建物敷地の現在価値ー負担付所有権の価値=配偶者居住権の価値」
負担付所有権の価値は建物の耐用年数、築年数、法定利率等を考慮し配偶者居住権の負担が消滅した時点の建物敷地の価値を算出した上、これを現在価値に引き直して求めることができます。
例えば2000万円の現在価値がある土地建物につき、負担付所有権の価値を計算した結果1000万円だった場合は配偶者居住権の価値は1000万円になります。
先ほどの事例で、子が負担付(配偶者居住権付き)の所有権を取得する場合、
相続分は以下のとおりとなります。
妻→配偶者居住権(1000万円)+預貯金(1500万円)
子→土地建物の負担付き所有権(1000万円)+預貯金(1500万円)
この制度が創設されたことで遺産争いで法定相続分どおりでしか折り合いがつかない場合でも、配偶者は住み慣れた家での居住権を確保しつつ、その他の財産の相続について目減りを防ぐことができます。
配偶者居住権が成立する要件とは👇
①被相続人が居住建物の名義を有していたこと。
第三者との共有名義では適用できません。
②生存配偶者が被相続人死亡時にその居住建物に住んでいたこと
別居していた場合には適用できません。
③遺産分割協議で配偶者居住権を取得するとの合意が成立したとき、または配偶者居住権が遺贈または死因贈与の目的とされたとき
または
遺産分割の請求を受けた家庭裁判所は次の場合には、配偶者居住権を取得する旨の審判を行なうことができる。
1 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
2 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき
なお、配偶者居住権は生存配偶者の終身の間成立します。
(配偶者居住権)
第1028条
被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。
(審判による配偶者居住権の取得)
第1029条
遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。
一 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
二 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。
(配偶者居住権の存続期間)
第1030条
配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
(配偶者居住権の登記等)
第1031条
居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
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当庁におきましては、令和2年1月29 日付けで標記資料を公表いたしました。
当該資料では、補聴器関連でお寄せ頂いている消費生活相談の内容なども勘案し、以下のような注意喚起事項を掲げています。
1 補聴器の購入の前に専門医に相談すべきであること。
2 補聴器は、「認定補聴器技能者」などの専門知識・技術を持った者に調整(フィッティング)してもらうことが効果的であり、専門知識・技術を持った者がいる販
売店も存在すること。
3 店舗で補聴器を購入した場合や通信販売の場合、どれだけ高額の商品であったとしても、基本的に「クーリング・オフ」は適用されないこと。
4 難聴の方は、耳が聞こえにくいことで、契約締結などの際に支障が生じることもあり得るため、周囲の方の支援が重要であること。
当庁といたしましては、これらの情報については、世代を問わず、一人でも多くの方々にお目通しいただくことが重要であると理解しております。
下記の資料もご覧ください。
補聴器の使用を検討中の皆様、そして、ご家族等の周囲の皆様へ。
(2020年1月29日)
(令和元年11月19日 日本経済新聞より抜粋)
( 配偶者による使用)
第1038条
配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。
3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。
(配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅)
第1039条
配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅する。
(居住建物の返還等)
第1040条
配偶者は、前条に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
(使用貸借等の規定の準用)
第1041条
第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、第千三十二条第二項、第千三十三条及び第千三十四条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。
(借主による収去等)(※改正民法(使用貸借))
第599条
借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その 附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
2 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
(賃借人の原状回復義務)(※改正民法(賃貸借))
第621条
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない 。
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残された配偶者の居住権を確保するための法律です。
平成8年12月17日最高裁判例「共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、右建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認される。」をベースに明文化し、さらに不動産が第三者に処分された場合も成立します。また上記判例ようなの推認がされないケースでも成立します。
(配偶者短期居住権)
第1037 条
配偶者は 、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。
ー 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合第三項の申入れの日から六箇月を経過する日
2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。
3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。
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【概要】
①法人について破産手続が開始される。
↓
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(自筆証書遺言)
民法第968条
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
赤文字が新設された部分です。
今までは本人が全部手書きしなければなりませんでした。これからは財産目録という形で財産一覧表を作成する場合、一覧表についてはワープロ打ちしたものや、財産が特定できる資料のコピーを用いることができるようになります。
具体例👇
これまでは、、、
私はBに対し下記の預金と不動産と株式を相続させる。
〇〇銀行△△支店 総合口座 口座番号××××××××××
〇〇県△△市〇番地〇の土地
〇〇社の普通株式△△株
私はCに対し下記の預金と不動産を相続させる。
〇〇銀行△△支店 総合口座 口座番号××××××××××
〇〇県△△市〇番地〇の土地
これら全部を手書きしなければなりませんでした。
たくさんあればあるほど大変で記載ミスも増えます。
これからは、、、
私はBに対し下記の預金と不動産を相続させる。
別紙財産目録の1.の預金
別紙財産目録の3.の不動産
別紙財産目録の5.の普通株式
私はCに対し下記の預金と不動産を相続させる。
別紙財産目録の2.の預金
別紙財産目録の4.の不動産
と手書きで記載
別紙財産目録は、パソコンで記載したもの・通帳コピー・登記簿謄本・評価証明書などを用いて作ることができます。
財産が多岐にわたり各相続人に個別に振り分けたい場合は有用です。
なお財産目録には各ページごとに署名、押印が必要です。
各ページ間の契印は不要です。
また、財産目録の印鑑は手書き部分の印鑑と異なっても大丈夫です。
上記2点は偽造される危険の指摘もありますが、今回の民法改正が遺言書作成の促進を目的とする趣旨であるため、遺言の方式を厳格化し無効な遺言書が増えるよりも、簡素化して少しでも楽に作成できるようにということから上記2点が許容されたと思われます。
また、新設される「法務局における自筆証書遺言の保管制度」もあるので、こちらと併せて利用することも想定していると思われます。
遺言書の保管制度はこちら↓をクリック
なお、法律の施行日は
遺言書方式の緩和→2019年1月13日
遺言書の保管→2020年7月10日
です。これより前の日では適用できませんのでご注意下さい。
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登録免許税の納付は登記申請時に行います。
主な税額はこちら👇👇
減税が受けられるものや、非課税のものもあります。
詳しくはお問い合わせください。
実際の税額計算は、「課税標準金額」から導き出します。
不動産登記であれば固定資産評価額を用いるわけですが、地目や面積によって再計算しなければならない場合もあり複雑なものもあります。
実際の事例から~
【お題】
土地の登記簿は宅地、評価証明書は現況が雑種地となっていますが、今回建物を新築して保存登記と土地の移転登記を連件で申請する場合でも、その土地の評価額のままで課税価格を算出してさしつかえないのでしょうか。
【回答】
評価証明書に登記簿宅地、現況雑種地として記載してあれば、原則として、評価額でそのまま計算してさしつかえありません。というのは、不動産の表示が評価証明書と登記簿とで相違する場合でも、固定資産課税台帳に評価額を登録後に、地目の変更登記がなされたときなどにかぎり、明白な特別の事情があるものとして、登記官の認定する価格によるとされているからです。このような特別な事情がない限り、評価額でそのまま算出できます(昭和42.7.22民事甲第2121号 参照)。
実務ではこのように細かいところもチェックしなければなりません。
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資産総額の変更登記手続きが必要な法人は、、
・医療法人
・社会福祉法人
・学校法人
・特定非営利活動法人(NPO法人)
・信用保証協会
・委託者保護基金
・原子力発電環境整備機構
・更生保護法人
・商品先物取引協会
・職業訓練法人
・投資者保護基金
・認可金融商品取引業協会
・保険契約者保護機構
・貸金業協会
資産の総額とは「積極財産から消極財産を控除した純資産」です(法務省民事局回答)。
債務の担保となるべき資産額を公示することによって、法人の債権者が資産を把握できるよう債権者保護を目的としています。
この登記手続きは、事業年度末日から3か月以内に行わなければなりません(組合等登記令第3条)。
毎年行う必要があります。
定款の変更は不要です。
なお、NPO法人については、平成30年10月から改正NPO法が施行されます。
詳しくは下記リンクをご覧下さい。
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