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相続のこと  ·  2020/04/15

第3回 配偶者居住権(民法改正)

高齢化社会では配偶者が死亡した時点で他方配偶者も高齢になっているケースは少なくありません。残された配偶者のこれから人生において、住み慣れた家での生活及び生活資金の確保は大切なテーマとなってきます。

 

 

今までの制度では、例えば被相続人の財産

自宅(評価2000万円)

預貯金(3000万円)

 

相続人

妻と子1人

 

である場合に

 

 

妻は自宅を相続し、預貯金についてもある程度相続したいと考えていたところ、子は法定相続分どおりの権利を主張し、話し合いの結果、法定相続分でしか折り合いがつかなかった場合、以下のとおりとなります。

  

 

妻→自宅2000万円+預貯金500万円

子→預貯金2500万円

 

 

住み慣れた自宅での生活を確保する代償として、相続できる現金が少なくなります。

逆に預貯金額を確保しようとするならば、家を換価して分けるしかありません。

 

 

そこで新民法において、配偶者は「その土地建物について処分や収益行為はできないが無償で建物を居住できる」配偶者居住権という権利を新たに創設しました。所有権者とは別の概念です。つまり配偶者が自宅の所有権を取得しなかったとしても、この配偶者居住権さえあれば住むことはできるということです。ある意味使用貸借(無償の賃貸)みたいなものです。

  

  

配偶者居住権は、居住権としての価値を算出し相続分を計算します。

具体的には

「建物敷地の現在価値ー負担付所有権の価値=配偶者居住権の価値」

 

 

負担付所有権の価値は建物の耐用年数、築年数、法定利率等を考慮し配偶者居住権の負担が消滅した時点の建物敷地の価値を算出した上、これを現在価値に引き直して求めることができます。 

 

 

例えば2000万円の現在価値がある土地建物につき、負担付所有権の価値を計算した結果1000万円だった場合は配偶者居住権の価値は1000万円になります。

 

 

先ほどの事例で、子が負担付(配偶者居住権付き)の所有権を取得する場合、

相続分は以下のとおりとなります。

 

 

妻→配偶者居住権(1000万円)+預貯金(1500万円)

子→土地建物の負担付き所有権(1000万円)+預貯金(1500万円)

 

  

この制度が創設されたことで遺産争いで法定相続分どおりでしか折り合いがつかない場合でも、配偶者は住み慣れた家での居住権を確保しつつ、その他の財産の相続について目減りを防ぐことができます。

   

  

配偶者居住権が成立する要件とは👇 

①被相続人が居住建物の名義を有していたこと。

第三者との共有名義では適用できません。

  

  

②生存配偶者が被相続人死亡時にその居住建物に住んでいたこと

 別居していた場合には適用できません。

 

  

③遺産分割協議で配偶者居住権を取得するとの合意が成立したとき、または配偶者居住権が遺贈または死因贈与の目的とされたとき

または

 遺産分割の請求を受けた家庭裁判所は次の場合には、配偶者居住権を取得する旨の審判を行なうことができる。

 1 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。

 2 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき

 

 

なお、配偶者居住権は生存配偶者の終身の間成立します。 

  

 

  

(配偶者居住権)

第1028条

被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

 

一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

 

二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

 

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

 

3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

  

(審判による配偶者居住権の取得)

第1029条

遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。

 

一 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。

 

二 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。

  

(配偶者居住権の存続期間)

第1030条 

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。 

 

(配偶者居住権の登記等)

第1031条 

居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。

2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。

  

 
   

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