鹿児島市S様は住宅ローンをお借り換えされるため、現在の住宅ローンに関する抵当権抹消登記と新規住宅ローンの抵当権設定登記を実施しました。
借換元金融機関様にお客様と同行し、抹消登記必要書類を一緒に受領しました。
住宅ローンを借り換えする際になぜ登記が必要なのか?
金融機関は融資実行と同時に、不動産に対して第1順位の抵当権(担保権)を設定できる保証があってはじめて融資を行います。担保設定できる保証がない場合は絶対に融資しません。
そして金融機関が不動産担保を取得できたといえるためには登記手続きを完了させる必要があります。契約書を作成するだけではだめです。
民事執行法
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第八十七条 売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。
一 差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。)
二 配当要求の終期までに配当要求をした債権者
三 差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者
四 差押えの登記前に登記(民事保全法第五十三条第二項に規定する仮処分による仮登記を含む。)がされた先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。)
上記条文のとおり抵当権設定登記を受けてさえいれば、万が一の場合、不動産競売の配当金から債権回収を図ることができます。
融資実行と同時に登記手続きを行うわけですが、登記手続きをミスすると(申請却下)担保をとれずに融資したことになり融資事故扱いになります。場合によっては金融庁案件です。
ミスした際に再度登記申請をすればいいじゃないかと思うかもしれませんが、そう単純な話ではありません。
不動産登記は順番取り競争です。再申請をするまでの少しの間でも差押えや別の担保権が登記される恐れや、顧客が融資だけ受けて担保権を除去した上で不動産を勝手に売却し、売買代金を持ち逃げする恐れなど可能性でいえばたくさんのリスクが金融機関にとって発生します。ほかにも不動産所有者の固定資産税の滞納による差押えは信用情報登録では見抜けませんので常に差押のリスクがあります。
よって司法書士には、抵当権を120%ミスなく通す技量と、同時に借換元金融機関の住宅ローンが完済され既存の抵当権を消すことができるか・不動産に対して差押や賃借権の付着が無いか・不動産登記法の却下事由がないかなどを慎重に判断して第1順位の抵当権を入れる技量が求められます。
金融機関様にはそのことについて「司法書士が登記申請するから融資できる」と司法書士を信頼していただいて業務をお任せいただいております。
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