公正証書の名のとおり、この遺言は公証役場において公証人の関与のもとに作成されます。
そのため公証人には遺言書の中身を見られますが、公証人にはもちろん守秘義務があります。
また、法律に精通している公証人のチェックを受けることで、法的な手続不備を回避できるというメリットがあります。
そのほか自書での遺言と比べて、、
①紛失の恐れがない、改ざんの恐れがない
原本は公証役場に保管されます。保管される期間は法律上20年間ですが公証役場ごとの実務上の取り扱いがあります。
当県では、生存している間は保管すべきとのことから遺言者が130歳になるくらいまで保管するそうです。
公証役場に保管されるので、原本を改ざんされる心配もありません。
②公文書として証拠力が高い
遺言書の内容や、遺言能力(判断能力ある自分の意思で遺言書を書いたといえるか)に争いが生じたとき、自筆証書遺言よりも証拠力が高いといえます。公正証書遺言は証人2人の立会が必ず必要であることもプラスに働くのでしょう。
もっとも本人の判断能力については、法律専門家などが証人となったケースでも判断能力が否定された裁判例もあり、やはりケースバイケースです。
すなわち「人間誰しも衰える」と考えるならば、遺言を残したいのであれば早めに作るということが大切であると考えます。
③検認が必要ない
民法第1004条
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
④字が書けない、耳が聞こえない、口がきけない場合などでも作ることができる
第969条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人2人以上の立会いがあること。
なお、入院等で外出が困難な場合は、公証人に出張をお願することもできます。(出張料が必要)
デメリットとしては
①費用がかかる
②手間がかかる
という点でしょうか。
次回は、「遺言の中身」について考えてみたいと思います。
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